オックスフォード大学で学ぶ上で重要なのが「チュートリアル」であり、少人数の学生グループ(1〜3人)が週に1回、約1時間その分野の第一人者である教授と課題について議論します!基本的には、毎週課題とその課題に対する回答を導くのに役立つリーディング・リストが与えられます。課題図書を読み進めながら、自分の考えや意見を整理し、主張を形成していきます。この論点を、チューターに説明し、あらゆる角度からの鋭い指摘を受けます。膨大な量の書物を読みながら、自分の意見を形成することをルーティンとし、文章力、思考力、説明力、説得力などなど様々なスキルを身につけることが出来るのです。限られた時間でなんとかアウトプットしなければならないため、無理矢理にでも意見をひねり出す学生もいます。これを繰り返すと、即興で何でも発言できるようになるという「便利な」能力も身につきます。
実際のチュートリアルの雰囲気を掴みたい方は映画を見てみましょう。Netflixシリーズの『ある告発の解剖(Anatomy of a Scandal)』にチュートリアルの準備の様子や実際の授業が描写されています。オックスフォードのシーンがたくさん出てきますし、英国の階級の闇について洞察に満ちた描写が楽しめるのでオススメです。『The Deceived』というドラマは、オックスフォードではなくケンブリッジですが、チュートリアルのシーンが少し出てきます。他にも、たくさん有るので是非探してみてください(映画は本当に勉強になります)。
私は大学院留学でしたので、学部生とは異なるかもしれませんが、2年間の留学中に少人数の授業を受けていました。チュートリアルも2週間に一度のペースで受けていました。最初は、つらくてつらくて、体中に蕁麻疹が出るほど、ストレスがたまっていたのですが、何とかなるものです。二学期目には、コツがつかめるようになり、考えることに専念し、エッセイは前日に書き始めるだけでも間に合うようになりました。
この独特のチュートリアル制度を通して思ったのが、学問に対して自律的に取組、自分の意見に責任を持つことです。毎週エッセイを書くということは、要するに週のほとんどが独学です。独学だと深掘り入れない知識、気づかない論点、勘違いが起きることは誰にでもあります。これを軌道修正する場がチュートリアルや授業でのディスカッションだと思います。変な方向に一生懸命向かっても何もなりません。自分の意見に対する批判を受け、落ち込むのでは無く、なるほど!その視点があったか、あっ勘違いしていました!軌道修正できて良かったです。ありがとうございます!という姿勢で臨めばとても身になります。一言で言うと、オックスフォードで学びたい方は「独学」に慣れている、あるいは独学が好きという方にぴったりです。手取り足取り教えてもらうというスタンスではオックスフォード流の教育の良さを享受することができません。地頭をトコトン鍛える場ということがいえます。英国には、しっかりと基礎から先生が教えてくれる大学もたくさんありますし、その方が自分に合うという方にとっては、オックスフォードに行くよりも何倍も実りのある大学生活をおくれます。自分の勉強スタイルにあっているかも考慮して留学する大学選びを行うことをおすすめします。